「没後50年 鏑木清方展」について
東京国立近代美術館で開催中の、「没後50年 鏑木清方展」についての感想。
上村松園と並んで美人画のイメージが強かったのですが、明治の頃の生活を描いた作品もたくさんあるとは初めて知りました。
会場内で流れていたご本人の肉声で、明治を若い時に過ごせたのは幸せだったというようなことを言われていましたが、《明治風俗十二ヶ月》などは特にそれが伝わる生き生きとした生活風景です。
女性の描き方はやはり素晴らしく、今回は女性の顔よりも着物の柄に目が留まりました。
デザインだけでなく色の組み合わせも美しい。今さら着物で生活はできませんが、着物っていいなあと改めて良さに気づきました。
印象に残った絵をいくつか。
■《泉》
木や草の落ち着いた緑、渋い緑、女性の着物の色は花緑青でしょうか。
どう見ても日本の風景なのですが、どこかコローの森の風景画と似たような雰囲気が。
■《築地明石町》
キリッとスラッと、文句なしの美人。目元涼しく、かっこよさすら感じます。
■《京鹿子娘道成寺》
どの絵の女性も美しく着物は艶やか、掛け軸の表装に花がおそらく刺繍されていたりと凝っていて見飽きず、つい行ったり来たりしてしまうほど。
ちなみに美術館の外は桜が咲き、館内から写真を撮ったらまるで日本画のよう。
眼福と言える展覧会でした。
春を愛でる③
春は桜以外にも見どころがたくさん、思うままに残しておきましょう。
柔らかく瑞々しい葉も春ならではの楽しみ。
それぞれの葉のデザインも素敵です。
枯れたがくと新しい葉の対比、冬から春への移り変わりが鮮やか。
たぶんワスレナグサ、見落としそうなほど慎ましく咲いてます。
カラスノエンドウがお姫様を守るかのように小さなムスカリを囲んでいてかわいらしい。
ツタバウンランだと思いますが、濃いめの紫と白い線が個性的。
モクレンでしょうか、こちらの自己主張もなかなか。
今日は山っぽい風情の桜を…
渋い緑の葉っぱと花のコントラスト。
蛇足、線香花火を思い出した一枚。
チューリップはこれからが本番、まだまだ春を楽しめそうです。
「特別展 宝石 地球がうみだすキセキ」について
上野で開催中の、「特別展 宝石 地球がうみだすキセキ」についての感想。
地球の不思議ともいえる原石から人間の超絶技巧であるジュエリーまでを網羅、原石好きもジュエリー好きも楽しめる展覧会です。
バイライトは未知の可能性を秘めた鉱物としてマーベルあたりのヒーロー映画に出てきそうだし、トルマリンはゲームの世界を切り取ってきたかのよう。
サファイアの青にしてもエメラルドの緑にしても、産地で色が違ってくるのが興味深い。
その上、青色以外のサファイアがあることは初めて知って驚きました。
ポピュラーなものから初めて見る名前まで、種類がありすぎてとても覚えきれない。
加工技術によって得られる宝石の透明感は素晴らしいですが、カメオの柔らかで美しい線も彫るのが難しいとのこと、人間の美の追求はとどまるところを知りません。
貴族時代のジュエリーはそれ自体がごってりしているだけでなく、一つ一つの宝石の粒も大きめであるように感じます。
そのため特にダイヤモンドの集合体のようなジュエリーは光の洪水で目が眩むほど、つける人間にもパワーが求められるような。
蛇足…ブーケクリップの写真を撮ったら上の照明がお花の形になって少々かわいいことに。
色とりどりの輝きに、目がお腹いっぱいになるような展覧会でした。
春を愛でる①
春の到来をまざまざと感じる今日この頃、花々の記録でも。
タイトルを①にしたのは、今後ソメイヨシノで②を書きたくなるのでは…と予想してのこと。
では早速、オカメザクラから。
濃いピンクが可愛らしい。
次、アタミザクラ。
カワヅザクラも。
これは桜なのか…初めて見ました。
道端もしっかり春。
ツタバウンラン、お花は小さいですが凝ったデザイン。
スミレのようにも妖精のようにも見えます。
本当のスミレも。
スミレは可憐なイメージがありますが、こちらは紫の中に白が混ざっているからか、どこか洒落た感じが。
うまい具合に色が分かれているコンクリートも渋さを演出。
特に花に詳しいわけではないので、名前が間違っている可能性もあります…念の為。
それはともかく、ソメイヨシノの開花も楽しみです。
「ダミアン・ハースト 桜」について
国立新美術館で開催中の、「ダミアン・ハースト 桜」についての感想。
会場に入った時の明るさと解放感が印象的。
高い天井、白い壁に大きな桜の絵。
一気に春を感じさせます。
近くで見ると幹や枝は描いてあっても花として明確には描かれておらず、円形っぽい絵の具が分厚くたくさんおかれているのに、少し距離をとって見てみれば桜。
個人的に気に入った作品を。
■《神の桜》
赤に近いピンク、少し距離をおいて見ると奥行きが感じられ、満開の桜に囲まれているような気分に。
色なのか描き方なのか、ちょっとだけクリムトの風景画を思い出しました。
■《この桜より大きな愛はない》
幾つもの花びらの輪が繋がっていて、いつまでもグルグルと眺めていられる作品。
背景の水色は青空にも、花びらが散った川の水面にも見えるような。
ちょうどオカメザクラの写真がダミアン・ハーストの桜を思わせたのでついでに。
本物の桜でのお花見はもちろん良いですが、絵画のお花見もオツなものだなあと感じる展覧会でした。